この問いに答えるには、エントロピーの概念を知らなければならない。
簡単に言うと、
「混ぜるな資源」
という話なのだが、これはごみ出しだけにとどまらない。
「混ぜるな資源」の混ぜる段階は、製品の製造時から始まる。
例えば、空き缶のリサイクルを例に取ると、飲食品を入れている缶は単純にスチールやアルミで出来ているわけではない。
外面に描かれた商品の絵柄などは特殊印刷用の高分子(インク)が付着しているし、缶の内面は内容物に金属臭がしないよう、薄いプラスチックの膜が貼られている。
これをリサイクルして鉄やアルミの塊に戻しても、その純度は確実に下がる。中身をすすがずに捨てた場合はこれに飲食品の残渣が加わり、さらに純度が下がる。塩分を含んでいたなら、溶解の際に塩素が分離し、素材の品質に影響を及ぼすだろうし、排ガスにダイオキシン類が発生する可能性もある。
そういったややこしい話を分かりやすく解説してくれる良書がこれ。

「環境の限界」は技術が超える―ニュー・グリーン・エコノミーへの試み
- 作者: 小野田 猛史
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1990/06
- メディア: −
残念ながら、ほぼ絶版のようで入手が困難。
同じように、エントロピーの概念を元に環境を論じた本として
があるが、こちらは結構難解である。いずれも1990年に発売されているが、このエントロピーの概念は科学の基礎をなすものでもあり、現在でも環境問題を考える上で十分に有用である。個人的には、

「環境の限界」は技術が超える―ニュー・グリーン・エコノミーへの試み
- 作者: 小野田 猛史
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1990/06
- メディア: −
の復刊、あるいは新訂版が出てくれないかと切望している。