2009年12月02日

CUD−カラーユニバーサルデザイン−

ふらりと立ち寄った書店ですごい本を見つけました。


カラーユニバーサルデザイン

カラーユニバーサルデザイン

  • 作者: カラーユニバーサルデザイン機構
  • 出版社/メーカー: ハート出版
  • 発売日: 2009/04/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




何がすごいって、一般の人と色覚が異なる人が見ている世界について非常に分かりやすく解説していること。
定価3800円と少々高いが、前頁フルカラー印刷だからこれは仕方が無いことかもしれません。シミュレーション写真を用い、色覚特性の異なる人たちにとってその風景がどのように見えるかを解説しています。
また、色覚障碍の発生メカニズムや、カラーデザインを行う上でどのようにすればよいのかも具体的に示しています。
色覚シミュレーターはいくつかのソフトウェアに搭載されていますが、この本は色覚障碍をより身近に、具体的に感じることができます。

この本の作り・構成自体が、優れたプレゼンテーションの見本とも言え、色覚の話と共に、デザイナーとして学べることが多々ある本です。


さて、色覚が一般と異なる人=色弱者は、男性の20人に1人の割合で存在するそうです。
この色弱という障碍は、性染色体のXの一部に問題があることで発生します。女性の場合は、もう一つの性染色体の遺伝子が機能するため、色覚に影響は及びません。しかし、男性のばあい、もう片方がY型で、Xの異常をカバーすることができないため、色弱が発現します。

20人に1人という割合は、異常と呼ぶには多すぎます。
他の障碍と同様、これは「個体差」と解釈すべき事柄ともいえます。

この書籍の説明文を一部引用します。
近年の科学の発達の結果として、人類の色覚には多様性があることが分かりました。多様性の頻度から、それらのいずれかを「正常」とし、他を「異常」とすることは適当ではないこと、またこれまで「色覚正常」と呼ばれてきた人たちの色覚も一様でないことが分かってきたことから、これらを血液型と同様、「色覚型」と考え、CUDOでは下記のようにC型、P型、D型、T型、A型と言った呼称を提唱しています。


これら色覚型のうち、C型が最も多く、3色を認識できます。従来「正常」と言われたグループです。
C型の中にも、赤を明るく感じる人と暗く感じる人がいて、日本では7:3、欧米では6:4に別れるとのこと。これは、緑と赤を感知するセンサーが、もとは同じ遺伝子の突然変異によって発生したもので、その感度が、緑センサーが赤センサーに近い人と、赤センサーが緑センサーに近い人とがいるということに起因するようです。

D型は緑のセンサーが赤寄り、あるいは機能していない、若しくは持っていない人で、赤と緑をほぼ一つの色として感知するとのこと。

P型は赤のセンサーが緑寄り、あるいは機能していない、若しくは持っていない人で、これもD型と同様、赤と緑をほぼ一つの色として感知するそうです。

では、この2つのグループはC型に比べて劣っているかというと、実はそんなことはなく、赤と緑の処理機能が非常に高く、例えば緑色は「赤系の緑」「黄色系の緑」「青系の緑」を明確に判別することができるそうです。
また、赤色も、中国国旗の赤と日本国旗の赤はまったく別の色に見えるとのこと。
これではどっちが障碍者かなんて言えませんね。

T型(黄青色盲)は青のセンサーが無いか、機能していない人で、もともと視覚センサーはこの色を感知するところから始まっているため、割合としては非常に少ないとのこと。青の領域を緑のセンサーがカバーしているため、青と緑が同一に見えます。

そしてA型は色を感知するセンサーが無いか機能しておらず、明るさを感知するセンサーのみが機能しています。これは本来暗いところでも物が良く見える高感度センサーとして機能するもので、赤外線センサーよろしく、赤色を明るく感知します。また、明るいところでは良く見えないとか。


さて、色覚型の分類ですが、私にとっては、アルファベットでの分類はわけが分かりません。A,B,O,ABに比べて多すぎて覚えられず、更にその特徴との関連付けも難しいです。

どうせなら、機能しているセンサーの数と、その特性で分けて欲しいところです。
センサーの機能別にするなら、
C型=3型明赤式、3型暗赤式
P型=2型赤緑一致式
D型=2型緑赤一致式
T型=2型青緑一致式
A型=1型高感度式
とか、
あるいは、色感度を重視するなら、
C型=明赤型、暗赤型
P、D型=赤緑一致型
T型=黄青一致型
A型=高感度型
というのがいいなと。

この本の難点として、赤緑色盲を中心に紹介されており、黄青色盲、全色盲に関する記述が乏しいことが挙げられます。
Webデザイン上のチェック項目としては、JIS-X8341に準拠すれば、とりあえず大丈夫そうです。また、モノクロでプリントアウトすることを考慮に入れてサイトを作ればよいのかなというのが全体的な感想です。

この本は、ガイドラインとして扱うよりも、赤緑一致型の色覚者への共感と、カラーユニバーサルデザインを皮膚感覚的に経験し、意識を向上させてくれます。
あとは、CUDツールを活用するのみ。
Color Finder for Universal Design
UDingシミュレーター
いずれも、パッケージとして送付されるため、すぐには使えません。
カラードクター(ダウンロードしてすぐに使えます。)
カラー・コントラスト・アナライザーW3C勧告を基準にしているため、Webデザイナーには最適かと思います。
aDesigner視覚障害・高齢者など広範に対応したアクセシビリティ・チェックツール。
posted by k3akinori at 11:37| Comment(1) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
著者です。拙著を紹介していただきましてありがとうございます。このたびNECディスプレイにもCUDチェック機能(いわゆるシミュレーション機能)が搭載されました。
http://www.nec-display.com/jp/display/professional/lcd-pa241w/

CUD講演旅日記はこちらです
http://hello.igachan.net/
Posted by koichi iga at 2010年02月08日 08:37
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